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催眠は脳のどの部分に作用するのか?

催眠が脳に作用する場所は一箇所ではありません。
複数の領域が連動しながら働き方が変化するのが催眠状態の特徴です。
ここでは、催眠中に特に関与するとされる主な脳部位を、最新の脳科学の知見をもとにわかりやすく解説します。
 
前頭前野(ぜんとうぜんや)
前頭前野は、論理的思考・判断・自我の制御をつかさどる脳の司令塔です。
催眠状態に入ると、この前頭前野の活動が一時的に抑制されます。
その結果、「これは本当か?」「今の自分はおかしいのでは?」といった批判的思考がゆるみ、暗示がそのまま受け入れられやすくなります。
これが催眠中に「手が重いと言われたら本当に重くなる」といった現象が起きる理由です。
 
前帯状皮質(ぜんたいじょうひしつ)
ここは注意のコントロールを担う領域で、何に意識を集中するかを選びます。
催眠中は、前帯状皮質の活動が変化し、外部のノイズや雑念をシャットアウトしながら一点集中の状態を作り出します。
これによって、催眠誘導者の声やイメージにだけ意識が集中するトランス状態が起こります。
 
島皮質(とうひしつ)
島皮質は、身体感覚や感情の処理に関わる場所です。
催眠中はこの島皮質の反応が高まり、**「イメージした感覚をリアルに感じる力」**が強くなります。
たとえば「温かい光に包まれている」と暗示されると、本当に体が温かく感じるのはこの領域の活動によるものです。
 
デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)
DMNは「何もしていないときに働く脳の回路」で、過去や未来を考えたり、自分自身について内省するときに活動します。
催眠中はこのDMNが部分的に静まることで、「今この瞬間」への集中が高まり、雑念や自己評価のループから離れることができます。
これは瞑想と催眠が似ているといわれる理由のひとつです。
 
扁桃体(へんとうたい)
扁桃体は恐怖や不安に関係する感情の中枢です。
催眠中には扁桃体の過活動が抑えられ、リラックスしやすくなることがわかっています。
このため、催眠は不安や恐怖をやわらげるセラピーにも活用されているのです。
 
まとめ
催眠は、脳の一部ではなく、前頭前野・前帯状皮質・島皮質・DMN・扁桃体など複数の部位が連携して働き方を変える状態です。
批判的思考をゆるめ、集中を高め、感覚や感情の受容性を上げる。
このように脳のモードを切り替えることが、催眠の本質的な働きです。
だからこそ、ただのリラックスや眠りとは違う、独自の意識状態として催眠が成り立つのです。